M字はげ原因|現役皮膚科医がM字はげを徹底解説!

M字はげの主な原因8つを現役皮膚科医が説明!

仲村医師

【自己紹介】
私は大分県で【なかむら皮膚科】の院長を務めさせて頂いている仲村 悟(なかむら さとる)と申します。

 

最近はAGA治療専門病院が増えてきましたが、それでもM字ハゲに悩む男性が当院を訪れる割合は年々増加傾向にあります。
M字はげは、男性特有のハゲの種類ですが、適切な処置をすれば必ず改善する事が出来ます。

 

当院のような皮膚科ではプロペシアと言う医薬品を処方するくらいしかできませんが、後述するAGA治療専門クリニックではM字はげに効果が高い治療法があります。

 

M字ハゲは悩みが深いですが、原因を知って適切な治療を行いM字ハゲを克服する事で、これまでに自信に満ち溢れた人生を歩み始める人を私は数多く見てきました。

 

そのために、まずM字ハゲになる原因をご説明致します。

 

M字はげの主な原因は7つあります

m字はげの治療前後

M字はげの主原因である

  • AGA(男性型脱毛症)
  • およびその主原因であるジヒドロテストステロン(DHT)
  • およびAGAの悪化原因である血行不良
  • ストレス
  • 生活習慣・食生活
  • 遺伝
  • 紫外線

です。
これから、それぞれの原因について解説致します。

 

 

M字ハゲの諸悪:AGA(男性型脱毛症)

AGA(=Androgenetic Alopecia)は、成人した男性で多くみられる脱毛症状です。
現在、日本では、一千万人以上もの患者さまがM字はげを始めとした薄毛や脱毛で悩んでいて、そのほとんどの原因が、このAGAとされています。

 

疫学的統計的には、AGAは30代から50代までの中年男性に多いとされていますが、最近は若年層(20代)のAGA患者さまも増えてきています。
AGAには進行性があるため、無処置のまま放置すれば、徐々に髪の毛は細く脆く抜け落ちやすくなり、減り続けていきます。当然M字はげも進行していきます。

 

しかしながら、AGAの症状では、薄毛になってしまっても、産毛は残っている為、毛包が残存している限り髪の毛は健康に、太く長く成長する可能性はある、とする報告もあります。

 

(※毛包とは?:毛根を包んでいる組織のことです。毛根を保護し、毛の伸長の通路となります。
したがってM字部分は清潔なまま保たれることが望ましい箇所ですが、毛包上部には皮脂腺が存在するため、適度なヘアケアを怠ると皮脂が貯留し詰まり、頭皮環境が悪化、M字はげを始めとしたAGAの悪化原因となります。)

 

 

M字ハゲの根本的原因:ジヒドロテストステロン(DHT)

AGAの主原因となるのが、このジヒドロテストステロンです。
ジヒドロテストステロンは男性ホルモンの一種であり、本来は男性の胎児期に、外性器の正常分化の促進をする重要なホルモンです。

 

しかし、思春期以降は、簡単に言うと悪さしかしません。
具体的には、AGAの他にも、ニキビや前立腺肥大などを引き起こします。

 

ジヒドロテストステロンは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、還元酵素のひとつである5αリダクターゼという酵素の働きにより、変化したものです。

 

このジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞に存在する男性ホルモンのレセプター(=受容体。ホルモンなどと結合し、結果としてさまざまな生理活性作用の発現などを行う重要な箇所です。)と結合し、髪の毛の成長サイクルを異常終了させてしまいます。
結果、毛髪が細く脆く、抜けやすくなりM字はげになるのです。

 

なお、前述の5αリダクターゼ、およびその代謝産物であるジヒドロテストステロンには二種類あります。
AGAが発現しやすい前頭部(M字はげ)・頭頂部(てっぺんはげ・つむじハゲ)に主に分布するタイプ2と、発現しにくい後頭部・
側頭部にあるタイプ1です。

 

通常の毛髪成長サイクルであれば、毛髪は生えてから2〜6年は維持されるといわれています。

 

しかし、前述のタイプ2ジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞の男性ホルモンレセプターに結合すると、脱毛を引き起こすタンパク質を生成します。
それにより毛髪の成長サイクルを、数か月〜1年と、極端に縮めてしまいM字はげとなります。

 

そのタンパク質の代表格とされているのが、TGF-β1(Transforming Growth Factor-β1)です。
これはサイトカイン(=細胞の働きを調節する、内因性の生理活性タンパク質)の一種です。

 

その主作用は、上皮系細胞に対する、強力な増殖抑制作用とされています。
毛髪・頭皮も上皮系細胞由来のため、その影響は強力です。

 

具体的な機序(メカニズム)は、TGF-β1が毛包に存在するTGF-β1-recepterに結合→
毛包の細胞のアポトーシス(自然死)惹起→毛周期が退行期へ強制移行→毛髪成長サイクル異常終了→脱毛、となります。

 

現在、M字はげを始めとしたAGA治療の内用薬であるプロペシアは、タイプ2-5αリダクターゼの阻害薬です。
したがってTGF-β1の阻害薬の実用化に期待がかかるところです。
しかし、TGF-βは毛髪関連以外にも多くの機能があるため、弊害や副作用などの懸念から、残念ながらまだ現実的ではないようです。

 

 

M字はげを増長する:血行不良

毛髪周囲組織も血管経由で栄養が補給されるため、血行不良はM字はげの悪化原因となります。
もちろん、全身の血行不良もよくないのですが、特に髪の近く、頭頸部の血行不良はダイレクトに影響します。
簡単に言うと、だいたい心臓より上の部分の血行不良になります。

 

具体的には、眼精疲労、肩こり、首こりなどです。
これらは頭頸部の血行不良の局所症状なので、これらの自覚症状があるなら、頭頸部の血行不良があるといえます。
頭頸部には、もちろん頭皮や、心臓から頭頸部に伸びる大動脈などの重要血管も含まれるので、毛包周辺の血行不良も起きているといえます。

 

そうなると、毛乳頭は毛細血管経由の栄養素や酸素を受け取れず、毛母細胞の分裂(=毛母細胞の数の増加)が不活性になります。
結果、発毛不良となります。

 

ついでに、なぜ肩こりや首こりが血行不良を起こすかも解説します。
まず、「懲り(こり)」という症状を説明します。

 

「懲り」とは、筋肉が慢性的に(=常に)硬直し続け、自分の意志でほぐせない状況ことをいいます。
同じ筋肉を長時間使い続けることや、緊張・ストレスが原因で、システムエンジニアなどのパソコンワーカーや製造業従事者に顕著にみられます。

 

メカニズムは、筋肉の緊張→周囲の血管を圧迫→血管狭窄→血管経由の栄養・酸素の搬入、および老廃物の搬出が阻害される→老廃物がそのまま蓄積→徐々に血管外へ浸潤(染み出す)→浸潤した老廃物が周囲の神経を刺激する→刺激によりジンジンした痛み・違和感(=こり)が起きる、となります。

 

 

ストレス

ストレスは頭皮の血行不良の原因となりM字はげを助長します。

 

生活習慣・食生活

毛髪育成に必要な栄養素の欠乏も、もちろんM字はげの悪化原因です。
髪の毛は、タンパク質のケラチン、18種類のアミノ酸(シスチン、グルタミン酸、アルギニン、グリシン、ロイシン、アスパラギン酸、セリン、スレオニン、バリン、アラニン、プロリン、チロシン、フェニルアラニン、リジン、イソロイシン、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン)を基礎として構成されています。

 

上記以外にもセラミド・コレステロール・脂肪酸等も髪の構成物質です。
上記のアミノ酸の中には、必須アミノ酸が存在します。
この必須アミノ酸は、人間が体内で自家生成できないため、食事から摂取しなければなりません。
加えて、ビタミン類・亜鉛などは髪の構成物質ではありませんが、生成には必須になります。

 

したがって、アンバランスな食生活や無理なダイエットなどは髪の正常育成を阻害します。ちなみに、サプリメントで必須栄養素をピンポイント摂取しても、あまり吸収率はよくありません。
せいぜいサプリ摂取量の10%程度と言われています。
(栄養ドリンクなどを飲んだ後、それがそのまま出ているんじゃないかと思うくらい、まっ黄色な尿が出ますよね。あれを思い出すとわかりやすいかと思います。)

 

また、単体摂取では吸収効率が悪く、ほとんど排出されてしまう栄養素もあります。
例えば、ビタミンB12の吸収阻害因子は、飲酒、喫煙、H2ブロッカータイプの胃薬などで、その他、多くの薬剤とも作用拮抗します。

 

また、ビタミンには脂溶性と水溶性があります。
脂溶性なら油でいためて調理、水溶性はヘタを取る前に洗うなど対策すれば、吸収効率の向上や低下防止もできます。

 

 

M字はげは遺伝する?

遺伝子

母方の祖父の頭髪状態から、自身の頭髪の将来像が類推可能とする報告もあります。
その根拠は、ボン大学のヒルマ―博士の提唱した薄毛遺伝の学説です。

 

一言で簡単にいうと、「薄毛(M字はげ)になり易い人となりにくい人は、X染色体上にある男性ホルモン(アンドロゲン)レセプターの感受性などに差がある」ということです。
ちなみに男性の場合X染色体は、必ず母親からのみ、受け継ぎます。

 

そして、薄毛(M字はげ)は、母方の祖父母由来の遺伝子情報が、隔世で遺伝されます。
薄毛の遺伝子は、母方の両親のいずれかに因子保持者がいる場合、孫(男性)に隔世遺伝する可能性が高い、とされています。

 

例えば、母方の祖父が薄毛遺伝子のキャリアの場合、子(男性)はX染色体を母親から、Y染色体は父親から受け継ぎます。
その為、子(男性)には薄毛の遺伝子は引き継がれませんが、子(女性)の場合は、薄毛遺伝子のキャリアとなります。

 

したがって、母方の祖父母いずれかが薄毛遺伝子のキャリアである場合、母親に薄毛遺伝子が引き継がれてM字はげになるのです。
そして、その母親の子(男性)は、その薄毛要因のあるX染色体を母親から受け継ぐため、薄毛になり易いのです。

 

ただし、100%必発ではありません。
前述のとおり、隔世遺伝ですから、発症確率は1/2(子が男児か女児か)×1/2(孫が発症男児かキャリア女児か)=1/4、つまり25%程度です。

 

さらに、これ以外にも、もうひとつ、薄毛遺伝子があります。
その遺伝形質は、前述の5αリダクターゼの活性力です。
これは先程とは違い、優性遺伝のため、必ず継承されてしまいます。

 

 

紫外線はM字はげの天敵!

紫外線も皮脂の酸化・頭皮乾燥などにより、悪化原因になりえます。
しかし、ここまでに述べた要因ほど、影響力はない、とする報告もあります。
その根拠は、メラニンの生体防御機能です。

 

 

M字ハゲ原因のまとめ

以上から、M字ハゲを改善するには、以下のようなことに気を付けた方がいいと言えます。

 

「M字ハゲの主原因はAGAであるため、ジヒドロテストステロン(DHT)の増加を抑えることが最重要課題となる。

 

あわせて、その悪化原因である血行不良、および血行不良の原因となるストレスを解消し、生活習慣・食生活を改善することもM字はげ対策として重要である。
さらに、その他の頭皮環境を悪化させうるすべての原因を、可及的に排除、忌避すべきである。」